2011年9月29日木曜日

カブトガニだよ、本物の。

いいかげん、ネタが苦しくなってきたら友人Nが「あれは絶対、おさえとか
なくちゃ」と言うエピソードをひとつ。ボルネオの海鮮市場にて、カブトガニ
を発見。大きな洗面器くらいの大きさのボディ(外骨格)にフェンシングの剣のよ
うな尻尾。立派なもんだ。
たぶん、生涯最初で最後の経験」とばかり「注文できるか?」
と聞くと、店主らしい男が「もちろんだ。焼いて食べる。おまえたちは日本人
か?」と聞いてきた。
「そうだ。で値段は……」と聞くと、答えずに慌ただしく去っていく店主。
狐につままれたような僕たちの前に今度は番頭風の男が。
Nが再び「これを注文したいのだが」と言うと、「そいつは食べ物じゃない」と
笑って否定するではないか。
ますますわけがわからず、とりあえず去ろうとした僕たち。
すると番頭風の男が(多分、店主に叱られたって感じで)追いかけてきて
「あれ、食べられます」
と言う。突然数秒前とは180度違う意見に面くらいながらも、
「いくらだ?」
「100g6RM」(1RM=約30円前後の感覚。しかしNより26円という訂正情報も)。
「あれはどのくらいの重さなんだろう?」
「3キロ以上はあるね」
「ほとんど殻の重さだよなぁ」
「尻尾は食べるとこないし、殻をはいだら肉は拳くらいだぜ。それで180RM
以上って……」
「しかし殻がついていないとカブトガニってわかんないし」
などとテーブルに着く私たち。
しばしの間、待つと、さきほどの番頭がやってきて
「調理できるシェフがいないので今日はできない」と告げた。
「? そんな特殊な料理なのか? 焼くだけじゃないのか?」
あとから考えると、店主は日本人だからぼってやろうと思い、売り物じゃない
カブトガニを食べさせると言った。重さに殻も含めれば、ぼれる。
しかし、もともとお飾りだったカブトガニをどういうふうに調理していいかわか
らず、結局僕たちは解放された。
こんなところだろう。
惜しかったかもしれないが、ほんの少しほっとしたりもした。ひょっとして
毒がある特殊な生物だったかも知れない。
帰国してからNより「普通に食える」という情報をメールでもらった。
しかし、多分、もう一生喰う機会はないだろう。
そう考えると、やはり、少し惜しかったかも知れないな。

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